土地を所有しているなら、マンションを建てて賃貸しようと考えるのは自然の流れでしょう。最も多い目的が投資でしょうか。それなら賃貸の家賃設定には慎重になりたいものですね。
家賃設定はオーナーの一存で決められるとしても、現実は不動産業者さんや管理会社さんの言いなりになるケースは多いものです。家賃の相場をリサーチして適切な賃料を設定するのはファーストステップとして非常に重要と考えましょう。
適切な家賃を設定し、またそれを維持するためにはどのようなことを考慮すればよいのでしょうか。家賃相場を調べる前に大切なことをまとめてみました。
家賃相場はどれくらい!?
家賃相場を最も決めやすい条件
立地は多くの人が気にする条件でしょう。駅から遠かったり、歩道整備がされていなかったりすると入居への決め手になりにくいものです。
それを覆す利点(バイク置き場が無料などがあり、それによって不便を感じないようなこと)があれば別ですが、一般的に立地条件の良さは賃料の上げ幅に反映されやすくなっています。
現在は、ニーズや価値観も多様化しています。家賃相場を決める前に、マンション自体が価値といえる強みを持つことも大切です。
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建てる前に需要と供給をリサーチする
土地活用が目的でマンション建設を考えているなら、需要と供給のバランスについて知る必要があります。
昨今のマンション建築は想定利益が高いことから、圧倒的にワンルーム仕様が多いことが目立ちます。
マンションを建築したあと、入居者がいてこそマンションとしての役割を果たし、利益を出します。入居者のニーズはもちろんのこと、そのエリアにはどういった人達が住んでいるのか、地域性はどうなのかなどをリサーチする必要があります。
家賃相場を考える材料としての立地は変えることはできません。立地以外で大切なこととしてマンションの広さがあります。こちらは変えることができます。よって、どんな層のための部屋にするのかを重視することは大切です。
もし自分が家族と住むとしたらワンルームマンションを選びますか?建てるエリアの需要を見極め、供給すること。これはマンション建築をするなら意識しておきたいことです。
マンション計画のカラクリ
昨今のマンション事情はワンルームが飽和状態ですが、なぜこのような現象が起きるのでしょうか。
その理由は、マンション計画が大きくなるからです。単純に考えて戸数を増やせば建築コストと総家賃収入を膨らますことができるわけです。そうであれば、1部屋あたりの面積が広くなるファミリー層より、面積の狭いワンルームを作った方が、利益をかさ上げし、オーナーに提案しやすいと考えるためです。
限られた敷地であるからなおさらですね。悪く言えば損得勘定が働いている場面です。これはまさに需要と供給のバランスを完全に無視した結果と言えます。
しかし、建築会社もオーナーも戸数が多い方が都合は良く、両者の利点は合致するため、ワンルームの飽和状態の現状を誰も指摘しないのです。
業界に身を置く者が、現状をきちんとオーナーに話さず利点だけを伝えるスタイルにも問題がありますが、投資目的のオーナー側の、投資で損するわけがないという強い自負も、現実を見極められないという事実を露呈しています。
たとえ投資目的であっても、社会に投じるものであれば、必要とされるものであった方が価値も上がると思います。10年、20年の長いスパンで運営計画を練り、継続していくことをお勧めします。
本当にワンルームでいいの?
息の長いマンション経営のために
投資目的のマンションならば、管理を外部にまかせる場合が多いと思いますが、これには注意が必要です。
利益を求めて建てられたマンション(需要を無視した建築)なら、空室が目立つことが高い確率で起こります。空室率が高くなると家賃を下げてでも入居者を募ります。まったくのゼロよりも少しでも賃料を得ようと考えるからです。
建ててから気付くのかもしれませんが、マンションは需要のないところには必要がないのです。これは非常にシンプルで分かりやすい失敗例ですが、この事実はなかなか浸透しません。マンション建築後、すぐに儲けを得ることばかりを考えていては、経営は立ち行かなくなるでしょう。
将来を見据えたマンション経営は困難だ、というオーナーもいらっしゃると思いますが、社会のニーズを読み取り、需要と共有のバランスを考えてみてはいかがでしょうか。
バス便のここは、ファミリーかな?
市場調査などの情報を活用する
マンションの管理を管理会社にまかせると、その管理会社の提案で家賃が変更することもあります。そうなってしまえば、自分が予想していた利益とかけ離れてしまうことがあり、トラブルに発展しかねません。
マンションの管理だけではなく、建築前のオーナー自身での調査もするべきでしょう。不動産会社、建築会社、オーナーとひとつのマンションを建てるわけですが、そこにはそれぞれの思惑があり、利害があります。それらがうまくプラスに合致して、完成となれば良いのですが、お互い伏せておきたいことは最後まで言わないというのが本当のところでしょう。
今はネットを駆使すればほしい情報がすぐに得られる時代です。面倒くさいと思わずに、最初の時点できちんと自ら調査し、意見を交わしながら完成にこぎつけたいですね。
まとめ
家賃の相場をリサーチするよりも先にそのエリアにはどの世代が多いのか、どんな環境なのか、よってどんなマンションが必要なのかを見極めることが大切です。
明らかにファミリー層が多く、近くには幼稚園や小学校、ショッピングモールや公園などが整っているのにもかかわらず、ワンルームマンションの建設をしても、その地域に必要とされるでしょうか。
一生懸命、家賃相場をリサーチして賃料を設定したところで、需要は見込めず、空室が目立ち、相場以下の賃料で募集することになりかねません。
マンション建設の目的はそれぞれですが、たとえ短期的な対策のためであっても、需要と供給のバランスを考慮した建築にしたいですね。