地代の交渉はどの地主さんにおいても頭を抱える問題ですね。
昔に契約書を作らず親切心で貸していたり、いつのまにか貸していることになっていたりと事情は様々で、地主さんと借地人の間のトラブルは後を絶ちません。
時代の流れにより、税率や価値が変わったり、相続で状況が変わったりで地代改定なしでは損失が出る場合もあります。
また有益な土地活用をしたくなる場合もあります。自分の土地なのに自由にできないのはもどかしいですね。
しかし借地人や借地権は強力な借地借家法により守られています。これにより地主さんはなかなか言い出せずにそのままにしておくケースが多いのです。自分の土地であるならしっかりと土地活用したいですね。
地代の相場を考えながら、自分がその土地を持って何をしたいのかを考えるきっかけにして、借地人との上手な付き合い方を考えましょう。
昔の地主さんと現代の地主さんの違い
昔の地主さんの典型は、借地人と話し合うことを意図的にやめていることです。
なぜなら、借地人には借地借家法というものがあり、こちらから話すと何かと不利になるという状況があったからです。
しかし現代は、とにかく借地人とは積極的に会って話をする地主さんが多くなっています。昔の地主さんはとかく立場的なものを意識している方も多かったようですが、2代目や、3代目あたりになってくると、気負った感じがなくなってくるのでしょう。
歩み寄らずして分かち合うことはない、逆を言えば、歩み寄るだけでうまくいくと実感している方が多いようで、実際その方がうまくいっているケースは多いのです。
目的を考える
たとえば、地代改定の交渉のために借地人を訪ねたとします。
普段から関りがない間柄であるなら、突然訪ねて地代改定交渉をしても、うまくいくはずはないと思いませんか?
気が重くなるような話をわざわざしなければならないことも気疲れしますし、怒らせてしまっても困ります。それだけの労力をかけて、地代改定の了承を得たとしても大きな額を見込めるとは思えません。たとえ少し値上げできたとしても、苦労した分に見合っているでしょうか?
地代改定が目的ならまだ成果を感じられるかもしれませんが、本心は立ち退きをお願いしたかったとしても、地代改定で話が決着してしまったら、もう立ち退きしてもらうことは難しいでしょう。
その土地に居てもらっても構わないなら地代改定交渉、立ち退きをお願いしたいなら立ち退き交渉と本来の目的を明確にしましょう。どちらも言い出しにくいことですが、地主さんの目的を自身できっちり把握することからすべては始まります。
どのような交渉でも重要な相互の関係性
前述したように、昔は地主さんと借地人との接点は少なかったのに対して、現代は多くなっています。
これは非常に良い傾向です。
とにかく会いに行って話すことは相互の関係性を築く上で必要なコミュニケーションです。
話をすれば、近々出ていく予定がある、困っていることがある、など思わぬ情報を得ることができます。
このことは、地主さん自身が現時点の状況を把握するという意味では非常に大切なことです。接点を持たないまま、地主さんの都合だから立ち退き料を支払うことで解決に向けることもひとつの方法ですが、少し強引な気もしますね。
もちろん問題はすぐに解決するのが一番ですが、徐々に解いていく方法も人間味があって良いと思います。
コミュニケーションを重ねて築く関係性は、それ以降の話し合いをスムーズにし、どういった話し合いであっても友好的な解決へと結ぶ確率が高いのです。関係性作り、地主さん側からぜひ積極的に歩み寄ると良いですね。
まとめ
地代をめぐる問題は多く、借地権においては非常に複雑です。
切り出すきっかけや、お互いの状況など、考慮しなければならない要素も多く、タイミングを見計らっていたら、権利が延長されていたなど、新しい問題も抱えかねません。
自分の目的(土地活用や税金対策)を整理し、それにともなう計画を立て、戦略を練り、そして相手の状況を考慮して交渉するという一連の流れを通して、決して強引にならずに、双方にとってできるだけ負担のないように考えることは、地主さんとしての役割のひとつだと考えましょう。