不動産経営で資産を残しても重くのしかかるのが税金です。
財産を持てば持つほど大きな額になってしまいますね。
決められた分を払うのは当然だとしても、税金を払うだけで手元に残らなくなってしまう状況はなきにしもあらず。法の目をくぐり抜け、儲けようと画策することなく、正当に税金を払いたいものです。
そのためにはまず知識を正しく持つことが節税効果を実感する方法と言えます。税法は改訂していきますので、よく勉強をされている方でも折を見て再確認すると良いですね。
確定申告の再確認
不動産オーナーであれば知っていることばかりでも、一度おさらいしておきましょう。
小規模企業共済
節税したいと考える方ならまず入っていないことはないでしょう。
まさに夢のような保険で、簡単にいえば個人事業主の方向けの退職金制度です。
節税には手元に残るお金と残らないお金がありますが、これは残る節税として人気です。毎月掛けるだけで所得税や住民税が安くなる上に、月に7万円まで掛けることができ、年間84万円の課税所得を減らすことができます。
また、退職金として受け取る場合には退職所得を1/2で計算でき、死亡した場合には相続税がかからないなどメリットの多いのが特徴です。
ただ全ての人が入れるわけではなく加入条件があり、不動産業に関しては事業的規模に達していなければなりません。
・事業的規模
不動産業は駐車場1台貸していても不動産賃貸業とすることができます。事業的規模として認められるには税理士を通して申請すると審査が通りやすいといわれています。知識を持った税理士を雇うことも広義では節税と言えるので、ぜひ相性の合う税理士を探しましょう。
青色申告
確定申告のことはよく分かっていると思っていても見落としがちなのが、10万円と65万円控除についてです。
不動産は控除額を選ぶことができることを知らない方が多いのです。5棟10室もしくは5棟以上の物件を所有していること、貸借対照表を記帳していることなど条件はありますが、個人で不動産賃貸業をしているのなら65万円の控除額を受けられます。
貸借対照表などはややこしいと思っている方も、会計ソフトを利用すれば簡単にできます。または、顧問弁護士への報酬を上乗せして請け負ってもらうことも良いですね。
少し支出が増えるだけで、55万円の節税ができると考えられますね。ごくたまに不動産業は青色申告ができないと考える税理士さんもいるようなので、一度確認してみましょう。
ふるさと納税
ふるさと納税は絶対にするべきですね。2000円を超える寄付金の分だけ所得税や住民税が減税されます。
そして何よりも美味しいのがその地域の特産品や果物など、デパートで買うと高価なものが返礼品とされていることでしょうか。
もっとも最近は返礼品が豪華すぎると問題になってますが、自分のふるさとや応援したい街があるならぜひ寄付することをお勧めします。地域のためにもなり、自分も嬉しい良いシステムです。
所得税法56条
不動産業を営む上で、家族(生計を一にする配偶者や親族)に働いてもらった分の対価を支払うときは、必要経費に算入できません。
必要経費に計上できないだけで、給与として支払うことは可能なのでぜひ支払ってあげてくださいね。
これは後々の相続税対策にもなります。家族であっても生計が別であるなら必要経費となります。
不動産賃貸業の税務調査
個人で不動産賃貸業をされていて、まだ税務署の人から訪ねられたことがない方はこれから経験されるかもしれません。
税務署は不動産賃貸業の税務調査は後回しにしがちだったのです。これは不動産賃貸業において家賃収入や経費など、大きな間違いはないだろうと思われていたためです。
しかし実際は小さな間違いが大きな税金へと発展していくと気づき始めたのです。たとえば10室のアパートを所有するオーナーが、そのうちの1室を親戚に貸していた場合、家賃収入がないのは当然ですが問題は経費です。
ひとつ変わると減価償却費や火災保険料、固定資産税などが大きく変わり、その差は10数万ほどになるのです。そういった間違いが不動産賃貸業には起こり得るということで税務署が動きだしているのです。
また入居者さんの中で家賃滞納をしている人の分は未収となり計上しないオーナーさんがいます。気持ちは分かりますが、それは税法上では通らないのです。必要経費は線引きが非常に難しく、オーナー側と税務署側の主張の対立となります。
ここで理解しておくべきことは、税務署が認めない経費は早々に諦めた方が良いということです。
どこまで経費として認められるかということは個人事業主にとっては難しい問題であり、飲み代や飲食代などがそれにあたります。
オーナー側が経費と主張しても税務署が認めなれば、正当な必要経費だと証明するのは個人の責任です。もし認められず修正申告書を書くようなことになれば、自ら非を認めていることになりますので慎重になりたいですね。あらかじめどこからが経費なのか、独自にルールを作っておいた方がよいでしょう。
こういった税務署の動きを利用してなのか税務署を騙った詐欺が横行しています。
税務署の人は突然訪問することはありません。提出した書類に税理士の連絡先があれば、まずそちらを通します。もし突撃訪問にあったら顧問税理士に直接連絡してもらうよう毅然とした態度で臨みましょう。
何かとややこしい税務関係ですが、スムーズに進めるには税務署の方を怒らせないことというのは大事なことです。
税務署の仕事は多く、速く処理させノルマを達成させなければいけません。
たとえ個人事業主であっても、会社員であっても税務関係のすべてにおいて判断を下すのは税務署です。
主張ばかりしていては物事が進まないので、税務関係は税務署の判断に素直になることが早く終わらせるコツです。
不動産管理会社を創った方が良いのか?
多くの方が法人化することを一度は検討したことがあると思います。
会社を創るにあたり、所得税対策に重きを置くのであれば、所得税や地方税などは100%の確率で安くなります。
たとえば1000万円の利益を一旦法人所得とすることで、給与として分配されることになります。給与として分配するのであれば給与所得控除を受けられるので税金対策になります。
法人化することは様々なメリットがありますが、みながみな、法人化しないのはコストが掛かるからというのが主たる理由です。
コストの大部分を占めるのは顧問税理士費用です。確定申告など日々の膨大な書類などを処理し、的確な助言をしてくれる税理士に支払うコストは平均30~50万円ほどが相場となっています。
このコストを節約しようと考える方が多いのですが、確実に節税をしようと考えるなら税理士への報酬は決して無駄ではありません。
次に気になるのは役員報酬の上限です。これは2000万円までは支払っても大丈夫です。実際は500~600万円が多いでしょうか。
実は税務署から見ると不動産賃貸業の仕事は楽して利益を上げられるという間違った認識があるようで見逃している感がありますが厳しい目もあります。その役員が学生であったり、遠方に住んでいる人であったりといった場合は審査が通らないことがあります。
法人化をした場合の管理料の相場は6~7%となっています。これは20%を超した管理料のときに裁判で落とすパーセンテージです。
ちなみに税務署は20%を超えない限り裁判はしません。適正なパーセンテージを算出したいですね。
あとひとつ大切なことですが、法人化をする目的は利益を残すためなので、たとえば土地は個人所有、建物は法人所有のケースは、法人が個人へ地代を払うので、その地代をできるだけ安く抑えようと考えます。
もちろん無償でも良いのですが、これは相続のときに困るので0円はやめましょう。この場合できるだけ地代を安くするために、無償返還届出をして賃貸借契約を結び、無料の貸し借りではないけれど、できるだけ低い地代にしていますという公的証明書を作成した上で決めることができます。
相場は固定資産税の2倍とすることが多いようです。
まとめ
もし年齢が50代から60代で、相続までにまだまだ時間がある方なら、賃貸不動産業を法人化はぜひ検討したいところです。
ややこしい手続きや相続対策とのバランスも考慮する必要もありますが、受けられるメリットの方が格段に多いと思います。
節税で儲けるわけではありませんが、必要以上の税金はできるだけ回避したいと考えるなら、顧問弁護士をつけて賢く法人化をすることを強くお勧めします。