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税務blog相続税の税務調査ってどんなもの?

相続税にも税務調査があるのをご存知でしょうか。しかも、それはいつ頃来るのか?

 

来たらどうしたらいいのか?など心の準備があるのとないのでは大きく違いますね。

 

「うちは財産が少ないから大丈夫!」と思っていたら・・万が一ということもあります。

 

ここでは来るべき相続税の税務調査が来た時についての対処、お役立ち情報を先取りでお伝えします。

 

 

相続税の申告状況は?調査対象はどんな基準なの?

 

そもそもみなさんどれくらい相続税を申告しているのでしょう?

またどんな人が対象になり、調査の対象基準は何でしょうか?

 

データによれば相続税の申告対象となった方は約5万6千人/国民全体の4%ちょっとだそうです。このうち申告漏れ等の非があった割合が80%以上というから驚きですね。

 

いきなりの税務調査で、驚かない為にも相続税の税務調査はどんなものか勉強しておきましょう。調査の件数は、割合的には少ない印象かもですが、相続税調査の対象になるのはどんな人なのかという点で見ていきましょう。

 

→調査対象となるのは資産家&高額所得者であること。資産家は≒高額納税者でもありますね。

調査対象のリストアップにあがるのは課税価格の平均である約2億円以上の人は要注意という事です。

 

 財産といえば不動産をイメージしますが、国内の不動産は登記制度によりガラス張りです。それゆえ、海外資産は近年、相続税対策として用いられるようになってきました。ですから税務署も海外資産には目を光らせています。

 

また、「資産運用のための不動産保有や運用をしている人はそれなりの資産家であること」というチェックがつくことが想定されます。税務署でもちょっとした「マーク」をしている可能性があります。

 

税務署は海外資産に関する情報を常日頃から収集していますので、海外資産は見つけられにくいだろうと高をくくっていると思わぬしっぺ返しをくらう事になるかもしれません。

 

 また、税務署から何も連絡がなかった事をいいことに、いわゆる相続税申告をしない無申告の方もいるようです。

 

知識や認識不足による故意でないことがわかっても、この手の財産の把握においては無申告撲滅のために情報の管理を税務署は強化しているようです。

 

 

いつ頃税務調査の連絡が入るの?

 

一般に相続税の税務調査が入るのは相続税申告書を提出してから1年から半前後と言われています。

相続した日からは2年以内と覚えておけばよいでしょう。

 

相続税の税務調査のポイントは次の通りです。

相続税申告書に記載された相続財産額と相続財産額に差異が疑われる場合

→被相続人に預貯金が多額に引き出されているなどの様子がある場合

→相続人または孫名義の預金残高がそれぞれの預金が急に多額になっている場合

→生前に相当額の不動産の譲渡収入や株式等の譲渡収入がある割には預貯金の申告が少ない場合

→不動産所得の申告があるのに相続で申告された不動産があまりない場合

→確定申告で配当や株式等の譲渡所得の申告をしていても相続での申告が少ない場合

 

このようにバランスがなんとなくおかしかったり、つじつまが合わない場合には

税務署から調査の対象とされやすくなるのです。

 

 

相続税の税務調査の流れと受け方は?

 

相続税の税務調査の流れをざっとまとめてみました。

 

その1:事前調査 様々な相続財産の情報を調査する

 

・・相続税の担当官が相続税調査の対象先から財産の情報を調査整理します。

 

【不動産】・・・被相続人の不動産名義変更など法務局からも情報を得て、

固定資産税評価額をもとに相続税対象かどうかを見ることになります。

 

【生命保険】・・・生命保険金の支払があった場合、生命保険会社からの

情報を基に支払報告書をチェックします。契約途中の生命保険契約の名義変更の情報や受け取った保険金から

相続税発生の有無を確認していますのでごまかすことができません。

 

【各種金融機関】・・・

税務署は照会をかけることで情報が開示されます。これら金融機関情報はその情報を提示します。

相続開始時とその前の複数年数の取引内容を照会できますので、被相続人と口座の凍結(被相続人の口座)などの履歴を見ると相続が発生したことがわかります。

 

【その他の情報源】

→その年の所得税の確定申告書、源泉徴収票

→退職時の支払調書

→送金等調書(海外含む)

→高額所得者、納税者名簿

→資産や運用、車、高級不動産などの所有者名簿

 

その2:調査の申入れ 税務署から連絡がある

 

相続税の税務調査の通知が来るのは次のような感じです。

「相続税申告書の内容について確認させて頂きたい」など相続に関する税務内容の問い合わせが

電話などより行われます。

 

・・・相続申告について税理士が代理人に選任されている場合には、その顧問税理士に連絡が入ります。

その際、税務署の担当者から調査予定日が提案、指定されますが、都合が悪い場合なら

ひと月以内に再度調整日程候補などをやりくりしても問題ありません。

 

その3.現地調査(税務職員の来訪 当日/午前

 

税務調査日(現物確認調査)には税務署の担当が被相続人が居住していた場所で行うことが多いです。

但し、故人の居宅を既に処分して手放している場合などは、相続人代表者の自宅で調査を行うこともあります。

 

税務調査官は午前中に2名ほどのチームで来訪します。多くは10時頃からスタートするようです。

まずは税務調査官との面談がスタートします。顧問税理士も依頼していれば立ち会うことが可能です。

 

主だった聞き取り内容の例は次のようなものです。

 

〇被相続人の出身地

〇被相続人の生前の職業

〇被相続人の家族について

〇被相続人の他界原因(病気や事故など)

〇被相続人の生前の生活ぶり

〇所有する財産や現在の管理者

 

などが、良く聞かれることだそうです。

申告漏れ財産や提出された相続税申告書の財産とのバランスを見るための質問内容ともいえます。

 

被相続人の名義の預金についてなども質問がある事は多いです。

預金の出し入れにおいては、多額預金引出のその資金使途についても、質問されることでしょう。

 

また現物の確認をされる場合があります。財産に当たるものが自宅に保管されていたりすれば

それにかかわるものの貴重品をチェックされます。

 

【確認される貴重品の例】

・貸金庫(あれば)

・郵送物(残高明細など)

・金融機関(証券会社、銀行)からの通知など

・宝石、貴金属、高価な財産

・遺言書があればコピーなど(公正証書、役場にオリジナルがある場合)

・不動産の権利書、登記

・各種契約書

・日記、手帳、メモなどの被相続人の記録

・預貯金の通帳/新旧すべて

・印鑑(実印、銀行届出印など)

・保険証券(生命保険、損害保険、自動車保険、火災保険など)

 

     午前中はこれらのチェツクで終わることが多いです。

 

次に午後からは昼休憩をはさんで13時から開始となります。昼休憩の1時間の間に午後からの作業の打ち合わせを兼ねたお昼休みとなっています。

 

その4.当日/午後

 

現物確認作業に午後は費やされます。

調査官2名での来訪の場合は、1日で調査がチェックを終えることが多いようです。

反対に調査官が1名の場合や財産調査事項のボリュームが多い場合は翌日まで2日間にわたることもあります。

 

現物確認されるおもなもの

 

通帳類…被相続人以外の家族の通帳の金融機関名、支店名、口座番号、名義人名もチェックされます。

高額な引出や入金がないか確認します。もし通帳類が多い場合にはいったん預かる場合もあります。

 

印鑑類…印鑑ごとにその用途を確認します。

 

不動産書類のチェック…登録されている書類と実際の申告不動産をチェックします。

 

遺言書…内容について確認します。

 

動産類…高価な宝石、貴金属、書画、骨董を記録します。

 

会員権など…ゴルフやその他、リゾート会員権、競走馬など権利があるものをチェックします。

 

その5.質問

 

…調査はおおむね夕方16時頃までに終了します。

税務調査官は関係する情報を収集します。  また事前に準備してきた疑問点が現物チェックやヒアリングで解決しない場合には、疑問として相続人に質問されることがあります。

さらに、その日の調査で新たに判明した事実に関係する質問事項も加わることがあります。調査官からの質問には確実に自信をもって話せる内容のみ答えるようにしましょう。わからない場合にはわからないといってしまってかまいません。(一番、いけないのは緊張してしまって記憶があいまいなままに不確かな回答をしてしまう事です)

相続人にて明確に正しい回答が可能な場合にのみ、その場で答えるようにしましょう。

わからないのに適当に答えたりしないことが大事です。また後日考えて例えば質問の意味がよく理解できないようなら後日、熟考の上、回答するか、顧問税理士から回答させるという形でも全くかまいません。

無理に適当に質問の答えを割り出したりしないことです。

 

 

税務調査に向けての準備

 

相続税の税務調査は日程調整を経て実施されます。そのため、ある程度は税務調査に向けての準備が可能です。

準備することで税務調査をスムーズに進めて行くことができますので、事前準備はきちんと行いましょう。

 

顧問税理士がいる場合は、立ち会ってもらいます。また家族の立ち合いも可能です。

生前の暮らしや財産状況について、詳しく説明できる相続人が最低1名は立ち合わなければなりません。

可能な場合は、相続人全員が立ち会って調査に協力してもらうという判断をする場合もあります。(税理士に相談)

相続人全員が立ち会えない場合でも税務調査が行われることは全員知っておく必要があります。

 

税務調査においては、現物の確認が行われますので保管場所や事前の準備をする必要があります。

さらに各相続にかかわる資料などの内容の確認をしておくようにしましょう。

 

税務調査官は、事前準備段階でかなりの詳しい資料を持っているはずです。

相続税の税務調査では、生前における親族間の相続財産の移転(贈与もチェックされることが多いです。

調査官の目から見た場合「適正な形で成立しているとは認められない」とされることも少なくないのです。

生前贈与なのか相続財産なのか・・贈与の場合は、少なくとも実際に贈与の際に提出した贈与申告書の控えや贈与契約書が必要となりますので注意してください。

 

次に、税務調査官からの質問に対する回答の仕方ですがその場であたふたしないようある程度予想をしておきましょう。顧問税理士がいればアドバイスをもらえますのでそれに従えば大丈夫です。

 

税務調査の当日、調査官からいろいろな角度で親族代表者質問が投げかけられます。

 

被相続人の暮らしぶりや趣味など金銭がかかわることは遠回しでもわかるように質問してきます。

基本的な質問においては前に準備しておけば慌てる事はないはずですが、ふいうちの質問などもあることでしょう。場合によっては相続人にとって不利益になるような意地悪な質問もあるかもしれません。

しかし、こんな時こそ焦らずに不確かな回答をしないようにしましょう。

 

嘘や不明確な回答をすることは良くありません。落ち着いて確実に、わからないときにはわからないと答え、間違いのない事実のみをこたえるほうが良いです。

記憶があいまいであることも人間ですから当然あります。

うる覚えで正確な回答ができそうにない場合は、その日だけで即答する必要はありません。

「よく覚えていませんので、後日、正確な回答を税理士を通して回答させていただきたく思います。」

と返答しておくほうが良いでしょう。

 

いずれにしても怖がる必要もありませんし、ありのまま質問に答えるだけで問題はありません。

あれこれ裏を取ろうと思わずに、専門家がいる場合はそのアドバイスに従っておきましょう。

ポイントは事前の準備にあります。この準備がきちんとできていればおのずから安心感も生まれてきます。

 

 

もし修正申告が必要になったら?

 

修正申告となった場合のペナルティや、修正申告をする場合はどのようにしたらいいでしょうか?

税務調査の結果、納めるべき相続税が不足していたような場合は、修正申告をします。

 

意図的に財産隠しをしたような場合は、ペナルティが課せられることもありますが、知らず知らずに

間違えた申告をしていることも実はあったりします。

 

そんな時には修正申告をかければよいでしょう。

ただし、悪質な所得隠しや相続ごまかしなどは、以下のようなペナルティが課されますので注意する必要があります。

 

正当な理由なく申告期限までに相続税申告をしなかった場合・・無申告加算税という課税がある。

 

・・・納付すべき相続税のうち50万円以下の部分については15%、50万円を超える部分については20%

課税されます。但し、税務調査があることを予期せずに自主的に申告した場合なら、一律5%に軽減される措置があります。

 

申告期限内に提出した相続税申告書の金額が不足していた場合・・・過少申告加算税が課税されます。

 

・・・不足税額のうち50万円以下の部分については10%、50万円超の部分については15%が課されます。

但し、調査があることを予期せずに自主的に修正申告した場合はこの過少申告加算税は課されることはありません。

 

財産を相続税課税を逃れるために意図的に隠していた場合・・・重加算税

 

・・・無申告でかつ、相続税課税を逃れるために財産を隠したり、証拠書類を偽装したりと

相続税逃れが故意に悪質に行われた場合は、40%の高い税率で重加算税が課税されます。

期限内申告をしているが、悪質な場合については、重加算税は35が課されます。

 

相続税の本来の納付期限(相続開始日から10ヶ月以内)までに納税されなかった場合・・・延滞税

 

納付期限から2ヶ月以内   年7.3%か「特例基準割合(注)+1%」のいずれか低い割合

 

納付期限から2ヶ月超    年14.6%か「特例基準割合(注)+7.3%」のいずれか低い割合

 

このように余計な税金を払わなければならなくなるので、きちんと納付期限を守って税の申告をしましょう。そんな時に頼れるのが町の専門家や税理士ですね。

 

このように複雑であったり、資料が多く必要になる場合は税理士の専門家に依頼する、アドバイスしてもらう、立ち会ってもらえれば一番心強いですね。

 

まとめ

 

税務調査の実態はご理解いただけたでしょうか?

とくに不動産や複雑な相続税においては、素人判断で対応しようというのは無理が出てきます。

 

できるだけ、事前にや当日でも税理士や専門家の先生に依頼して「正々堂々と」税務調査官にこたえられるようにしておけば、税務調査など怖いことは何もありません。

 

後々、面倒な追徴課税などにならないようにしっかりと押さえておきたいものです。

 

複雑な不動産の相続においては、いろいろな法律を絡めて評価額を下げることも可能なので、このあたりは専門の税理士に依頼してきちんと評価してもらった資料を持っておくことが必要になります。

 

また、宝石などの貴重品に関しても鑑定書を準備しておくなど専門家の力が欠かせません。

 

相続人が複数の場合はあらかじめ、調査されるものの内容をシミュレーションしておくことも大事です。

是非、臆することなく相続税の税務調査があった場合には堂々と対応できるように準備をしておきたいものです。


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