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税務blog結婚・子育て資金の贈与は、相続対策として活用できるのか?

結婚・子育て資金の贈与は、相続対策として活用できるのか

 

平成26年12月30日に、自民党・公明党の税制改正大綱が示されました。

 

そのなかに、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税枠創設が記載されています。

 

これまでの教育資金の贈与にプラスして結婚・子育てに係る一定の資金の贈与についても非課税になる制度です。

 

いま、日本で富裕層と言われている高齢の世代から、贈与等を活用して、子供や孫に資産を移す事によって消費を刺激する狙いがあると言われています。

 

このために贈与税の非課税制度等がこれまで以上に拡充されています。

教育資金非課税制度

 

同じような高齢の世代から、子供や孫の世代に資産を移す目的とする非課税制度のひとつが、教育資金の1500万円まで一括贈与を受けた場合の非課税制度です。

 

この制度については、もともと平成27年12月末までの予定でしたが、期限が平成31年3月31日迄延長されました。

 

また、教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費が加えられています。

 

海外の学校へ留学する場合、学費や寮費については、教育資金として認められていましたが、

留学に関する渡航費が認められていませんでしたので、今回の改正で、渡航費が認められた事は大きなポイントです。

 

このように、税制改正に伴い、少しずつ使い勝手が良くなったり、悪くなったりしますので、毎年行われる税制改正のポイントについては、押さえておく必要があります。

結婚・子育て資金の一括贈与について

 

新しくできた、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」について、税制改正大綱に基づいて、大切なところを押さえておきましょう。

 

税制改正大綱の内容

個人の結婚・子育て資金の支払いに充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関、銀行及び金融商品取引業者に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とする)までの金額に相当する部分については、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないものとする。

 

(注)上記の「結婚・子育て資金」とは、内閣総理大臣が次に掲げる費用に充てるための金銭をいう。

 

①結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含む)に要する費用、住居に要する費用、及び引っ越しに要する費用のうち一定のもの。

 

②妊娠に要する費用、出産に要する費用、この医療費及びこの保育料のうち一定のもの

 

ということで、1000万円までを結婚や子育ての費用に使う場合、贈与税は非課税になりますが、教育資金の贈与と同様、銀行等金融機関に口座を開設し、贈与する金額を預けて、領収書等を提出して、必要な時に引き出すになります。

 

結婚・子育て資金の内容については、もう少しすればその内容が具体的に示されるはずですので、はっきりした時にコラムに載せるようにさせていただきます。

 

活用する時の注意点

 

結婚・子育て資金管理契約の終了

次に掲げる事由に該当した場合には、結婚・子育て資金管理契約は終了する。

 

  受贈者が50歳に達した場合

  受贈者が死亡した場合

  信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき

 

終了時の取扱

  調書の提出

  残額の取扱い

 

管理契約が終了した場合において残額がある時は、これらの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税する。

 

つまり、最初に1000万円を限度にお金を預けていて、50歳になった時点で使いきれずに残高がある時には、50歳の時点で贈与があったものとして計算されるということです。

 

ファイナンシャル・プランナーとしてライフプランの相談を受けていますので、教育資金については、

子供の年齢やご両親の教育方針(中学校や高校から私立に通うのか、大学が国立・私立、文系・理系等)によって、いくらくらいの教育資金が必要かということがある程度把握できます。

 

結婚・子育て資金の一括贈与の場合は、お子様、お孫さんがいつ結婚されるのか、何人子育てを行うのかがはっきり判っていない状況で贈与する事も考えられますので、非課税の活用を検討する場合には、ライフプランについて事前に検討が必要です。

 

期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い

 

信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、当該死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなして、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。

 

この場合において、当該残額に対応する相続税額については、相続税額の2割加算の対象としない。

 

この点が、教育資金の一括贈与と、結婚・子育て資金の一括贈与の大きな違いです。

教育資金の一括贈与の場合、30歳までに非課税口座に預けたお金を使わないとその時点で贈与があったものとみなされます。

 

しかし、相続時点では、教育資金として非課税口座に預けたお金は相続財産として課税価格に加算される事はありません。

 

結婚・子育て資金の場合は、お爺ちゃんから1000万円の非課税の贈与を受けたお孫さんが、結婚で300万円だけ使った時点でお爺ちゃんが亡くなった場合には、お爺ちゃんの財産に残額(700万)を課税価格に加えて相続税の計算をしなければなりません。

 

一般的に、結婚などにかかる費用を親が支払う事については、原則贈与税は課税されません。

 

非課税限度額を活用する方法以外に、その都度、結婚や出産・子育て資金を贈与する事も出来ます。

 

ご自分の財産の状況や家族関係によってどの贈与を活用するのがベストなのかは異なりますので、結婚・子育て資金の一括贈与の特例が出来たからといってすぐに活用するのではなく、じっくり考えてみてください。

 

条件が整えば、住宅を取得する資金として3000万円の非課税、教育費用として1500万円、結婚・子育て費用として1000万円の最大5500万円の贈与を非課税で行うことが出来ますので、

相続対策やライフプランをじっくり考えて、贈与の時期と金額を検討してみてください。

 

また、お子様やお孫さまによって、贈与の方法を変える事も大切ですので、ご自分にとって良い贈与の方法を考えてみましょう。

 

一旦贈与をした財産を途中で戻す事は原則できませんので、ご自分の老後の生活資金を考えたり、アパートやマンション等の建築、補修工事等の大きなお金の動きを把握した上で、

どの贈与を活用するのが良いのかを検討して下さい。

 

特定のお孫さんだけに贈与を行うと、相続対策としては効果があっても、遺産分割協議の際に、

きょうだい間のしこりになってしまう事もあります。

家族全員が制度を理解して“円満な相続”を実現しましょう。

 

(税制改正速報に基づくポイントですので、詳細が確認できましたら、

内容について追加・修正を行う場合がある事をご了承ください)


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