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税務blog相続で取得した不動産を売却した時の税金

最近では、「相続で取得した不動産を売却した(い)のですけど・・・」という相談を受けました。

 

そこで、今回は相続で取得した不動産を売却した時の税金の注意点などをお伝えします。

 

 

 

不動産を売却した時の税金の計算式は、「(売却収入-取得費-売却費用)×税率」となります。

 

「売却収入」については、契約書の売買価額とは別途に固定資産税の精算金を受け取っている場合には、その金額を加算する必要があります。

 

また「税率」については、一般的には、譲渡した年の11日において所有期間が5年以下の短期譲渡と5年超の長期譲渡に分かれて、以下のようになります。

 

短期譲渡→39%(住民税9%含む)

長期譲渡→20%(住民税5%含む)

取得費の注意点

 

「取得費」と「売却費用」についてどこまでの範囲が含まれるのかという相談が、よくありますので、少し詳しく説明していきます。

 

取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額をいいます。

 

なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

 

上記のほか取得費に含まれる主なものは次のとおりです。ただし、事業所得などの必要経費に算入されたものは含まれません。

 

 

1.土地や建物を購入(贈与、相続又は遺贈による取得も含みます) したときに納めた登録免許税(登記費用も含みます)、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税

 

2.借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料

 

3.土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用

 

4.土地の測量費

 

5.所有権などを確保するために要した訴訟費用

 

6.建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用

 

7.土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子

 

8.既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

 

 

5については、例えば所有者について争いのある土地を購入した後、紛争を解決して土地を自分のものにした場合に、それまでにかかった訴訟費用のことをいいます。

なお、相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、取得費になりません。

 

 

一方、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少なかったりするときは、譲渡価額の5%を取得費とすることができます。

相続取得不動産の取得費の注意点

 

ここで、相続により取得した不動産の取得費については特例があります。

 

それは、「被相続人の取得費を引き継ぐ」ということです(同様に取得時期も引き継ぎますので、長期・短期判定時にご注意ください)。

 

つまり、被相続人(父や母)が購入した時の価額等を、今回売却時の取得費とする、ということです。

 

また、相続取得不動産の売却という観点からの注意点としては、上記にありましたように「相続登記した時の登録免許税や司法書士報酬なども取得費としてみてくれます(5%概算取得費を使わない場合)」ので忘れず控除してください。そのため、相続時の司法書士請求書などは大切に保管しておきましょう。

売却費用の注意点

 

売却費用とは、土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の

印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。

 

 

他にも以下のようなものも売却費用に含まれます。

 

1.既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金 これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより他へ高い価額で他に売却するために既契約者との契約、解除に伴い支出した違約金のことです。

 

 

2.借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料などこのように、売却費用とは売るために直接かかった費用をいいますので、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用、売却時の抵当権抹消登記費用などは譲渡費用に含まれません。

 

 

配偶者控除の適用や売却翌年の国民健康保険料に注意

 

少し話はそれますが、専業主婦だった方が、相続取得不動産を売却して多額の税金が発生するような場合には、通常、その年においては夫の配偶者控除の対象となりませんのでご注意ください。

 

 

また、国民健康保険の対象者が不動産の売却をして多額の税金が発生するような場合には、その翌年の国民健康保険料(住民税も同様に高額となることがありますが、前回冒頭の税率に含まれています)は最高額になることがありますので、この点もご注意ください。

 

 

居住用財産3,000万円の特別控除が使えるかどうか

 

「売却収入」から「取得費及び売却費用」を控除してプラスとなれば、原則、税金が発生します。 しかし、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく上記の計算式から更に最高3,000万円まで控除ができる特例があります。

 

これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。ただしこの特例を受けるための注意点として(特に相続不動産の売却ということを考えると)、以下3点にご留意ください。

 

1.自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売る事。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の1231日までに売ること。

 

2.売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でない事。 特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

 

3.別荘等のように主として趣味、娯楽、保養のために所有する家屋でない事。

※この他にマイホームの売却については、税率についても軽減特例等があります。


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