平成25年度税制改正が成立し、政令も公表されました。
しかし、相続税の改正や金融・証券税制の改正など、施行日が26年1月1日及び平成28年1月1日の改正項目については、政令が公表されませんでした。
総選挙が昨年末にあったために、税制改正法案の提出が遅れた影響のようです。
これらの政令については、5月末ごろに公表されるようです。
大手信託銀行各行は早速、教育資金の一括贈与による金銭信託の受付を始めました。
手数料が全く無料のところもあるようですが、有料の信託銀行でも低価格の手数料で
受付をしているようです。
教育資金一括贈与をした場合には、その後、贈与者に相続が発生したとしても、相続開始前3年以内の贈与財産の加算も、相続時精算課税の加算もありませんので、相続税対策として活用することができます。
相続税が課税される方にとっては、多少の手数料を払っても教育資金の一括贈与を行う方が有利といえるわけですが、手数料がかからないならこんなに有効なことはありません。
教育資金贈与は非課税
民法では扶養義務者相互間においては、相互に不要義務を負います。
したがって、親や祖父母が子や孫を扶養する義務がありますので、教育資金を負担しても贈与税が課税されることがあります。
子に生活力があるにもかかわらず、親が孫の教育資金を負担しても贈与税が課税されることはありません。
しかし、一括して贈与した場合、贈与した年の年末に金銭が残っていると、例え翌年以降に教育資金に使う予定のものでも贈与税が課税されます。
その意味で、教育資金の一括贈与の非課税規定は非常にありがたいといえます。
また、その都度贈与する場合には、いつどんなことが起きるか分からない中、場合によっては贈与を辞める事も可能です。
一括贈与した場合には、その贈与を取り消して「必要になったから返せ」とは言えません。
次のいずれかの教育資金管理契約を結んで、次のような管理が行なわれます。
(1) 直系尊属と信託会社との教育資金管理契約に基づき金銭信託受益権を受贈者が取得する。
(2) 直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を教育資金管理契約に基づき、受贈者と銀行等の間で普通預金等の一定の契約による銀行等の預金等として預け入れる。
(3) 教育資金管理契約に基づきその直系尊属から書面による贈与により取得した金銭もしくはこれに類する政令で定めるもので金融商品取引業者の営業所等において有価証券を購入した場合
教育資金の範囲
教育資金の範囲がどこまで認められるのかが注目されていましたが、原則として学校等に直接支払われることが条件となります。
学校等に直接支払われるという意味は領収書の発行者が学校等である必要があるという意味です。
学校や塾などの指導者に直接支払う教育費用は領収書があれば教育費用と認められます。その範囲は広く、入学金や授業料はもちろん、修学旅行や遠足の費用、学校給食費まで認められています。ただし、学校の領収書が必要です。
塾や家庭教師はもちろん野球ゲーム、ピアノの個人指導、絵画教室、バレエ教室、習字、茶道等まで認められており、その範囲は非常に広くなっています。
これらについても主催者・指導者の領収書がある場合だけ教育費用と認められることになっていますので、十分注意する必要があります。
したがって、手数料がかからないからといって安易に実行せず、十分検討してから実行するかどうかを検討する必要があるでしょう。
まとめ
教育資金贈与が非課税になりました。
相続開始前3年以内の贈与財産の加算も、相続時精算課税の加算もありませんので、相続税対策として活用することができます。