固定資産税、誰でも一度は耳にしたことがある有名な税ですが、所得税や法人税と違い、自動的に納税額が送付されるので、詳細を知らない人もいるのではないでしょうか?
固定資産税についての基本的な知識をまとめてみました。
固定資産税って何?
固定資産税は、賦課期日(毎年1月1日)現在の固定資産(土地・家屋・償却資産)の所有者に、その資産の価値(価格)をもとに納めていただく税金です。※出典:大阪市ホームページより
固定資産税額の基準は?
固定資産税は地方自治体に納付する地方税です。税率は地方自治体が自由に設定することができますが、標準税率は1.4%と定められています。
固定資産の所有者(納税義務者)は、納付税額を記載した納税通知書が4・7・12・2月、3ヶ月ごとに送られてくるので、その通知に従って納付します。
納付税額は、課税標準額(課税対象の価格などのこと)に1.4%に標準税率を掛けることで算出します。納付が指定期日より遅れた場合は?
固定資産税の納税は年4回に分けられていますが、それぞれ期限が設けられています。
それを過ぎた場合は滞納とみなされ、納期限の翌日から納付するまでの日数に応じた延滞金が発生します。これは納期日まで納めた人たちとの公平性を保つためです。
延滞金の算出式
(平成26年1月1日以降)
納付期限の1ヶ月以内の納税と1ヶ月以降の納税では特例基準割合が違います。
よって、
延滞金=[(税額×(特例基準割合+1%)×日数)÷365 ]←1ヶ月以内
+
[(税額×(特例基準割合+7.3%)×日数)÷365]↑1ヶ月以降
特例基準割合とは、各年の全前年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸し出し約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年12月15日までに財務大臣が告知する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。出典:国税庁ホームページより
徴収猶予
納税は国民の義務ですが、1年以内の期間で徴収を猶予して納付することもできます。これは納税者の申請によって取られる措置ですが、要件を満たす必要があります。
①財産につき震災を受け、または盗難にあったとき
②本人または生計を同一にする親族が病気にかかったり、負傷したりしたとき
③事業を廃止し、または休止した
④事業につき著しい損失を受けたとき
⑤①~④のいずれかに該当する事実に類する事実があったとき
⑥法定期限から1年を経過した後に納付(納入)すべき税額が確定した場合
出典:大阪市ホームページより
減免
徴収猶予によっても納税が困難であれば減免措置を行ってもらえる場合もあります。しかし、他の納税者との公平性を保つために、相応の根拠が必要です。
①天災など不可抗力的事情により納付が難しい場合
②生活保護など公的扶助を受けている場合
更地と建物が建っている場合は、土地に対する税額は変わりますか?
土地は、その評価額がそのまま標準課税額となります。(こちらは3年に1度評価額が見直されます。)
よって、自治体で決められた標準税率を掛けたものが対象の土地の固定資産税となります。
→土地(更地)の固定資産税=標準課税額×1.4%
その土地に建物が建っている場合、「住宅用地特例」という減税制度が適用されます。
→固定資産税(土地に200平米以内の建物あり)=課税標準額×1.4%×1/6
→固定資産税(土地に200平米以上の建物あり)=課税標準額×1.4%×1/3
更地の場合と、土地に建物が経っている場合、二つの固定資産税は大きく変わります。
建物があれば、減税に役立つのではと考えられますが、そうではありません。
近年増え続ける空き家に対して軽減措置が見直されました。更地と同様の税金が課す「特定空き家」に指定されると、更地と同様の税金が課されるようになりました。
家屋をそのままにしておくと、節税効果を得られますが、老朽化などで倒壊の危険性や放置された雑草などの衛生面の不安といった理由で迷惑を掛けてしまうかもしれません。
「特定空き家」に指定されないようにこの機会に管理を見直した方がよいかもしれません。
建物の固定資産税額は、毎年、減額されますか?
固定資産税の評価額は3年に1度のペースで変わりますので、建物の評価額が下がれば最短3年後に減額されることになります。
建物の評価額は、再建築費を基準とした再建築価格方式で算出しますが、この再建築費が高騰すると実質増額されるということもあります。
建物の固定資産税=標準課税額(建物評価額)×1.4%
建物評価額=建物再建築費用×築年数の経年劣化
建物再建築費用とは、評価の対象となる建物と同じものを建てる場合に必要な建築費(再建築費評点)のことです。
築年数の経年劣化とは、その建物の経過年数に応じた減価(経年限定補正率)のことです。
土地や建物を所有しているだけでも固定資産税が掛かるのは、意識せずとも様々な場面で公共サービスを受けているからです。
たとえば道路整備など自分の生活に影響しない場所であっても、市や地域に財産を所有するのであれば、固定資産税を支払うのは義務だと心得、管理が行き届かない財産に関しても税金対策のためだけではなく、どこかで何かに影響、もしくは迷惑が掛かっているかもしれないという意識も大切かもしれません。
まとめ
固定資産税とは、土地や家屋にかかる税金で、地方自治体に収める税金です。
納付税額は、課税標準額(課税対象の価格などのこと)に1.4%に標準税率を掛けることで算出します。
納付が遅れた場合は遅延金がかかりますので、納付期限までに納めるようにしましょう。
但し、条件を満たせば徴収猶予や減免の措置もあります。