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税務blog知らなかった相続の現状

現在日本は年間132万人の方が亡くなり、10万人の方に相続が行われています。

 

平成27年には基礎控除が変わり、基礎控除額が縮小されたことによって課税対象である相続人の数が増加しました。

 

以前は5万人ほどだったので、現在はほぼ倍になっている計算です。

 

しかし、日本の税理士の数を調べて見ると、なんと75000人います。

 

このことから考えれば、確定申告や会社の納税に関わる業務は得意でも、実は相続にかかわったことのない税理士はたくさんいることになります。

 

つまり、税理士=相続に詳しいという方程式は成り立たないことになるので注意が必要です。

 

法定相続人は何人?

 

データを見ると、法定相続人は3人という場合が非常に多いです。内訳は被相続人の配偶者と子供二人が多いと言えます。

 

相続人が一人であれば相続は非常にスムーズにいくのですが、法定相続人が増えれば増えるほど、トラブルになる可能性が増えていきます。

 

なぜなら財産の分割協議をする時に、どのように分けるかが問題になってくるからです。

 

では、分けるべき財産がどうなっているかというと、ほとんどの人の財産の半分以上が不動産で残りが預貯金や有価証券などになります。

 

多い人になると、財産のほとんどが不動産という人も。アパートやマンションなどの不動産や自宅を保有していても、いざ相続して納税…となると、現金がほとんどないという場合も少なくありません。

 

また、いざ分割しようとしても、現金と違って不動産は分割の仕方が非常に難しく、仮に共有したとしても先々では活用方法についての意見の食い違いなどを原因にトラブルに発展することも考えられます。

 

そのため、財産を不動産という形で多く所有している人は、早めに分割の仕方についてしっかりと考え、創造に関わる全ての人で協議しておく必要があります。

 

 

相続の手続き

 

相続は大きく分けて3つの段階に分けられます。

 

第一段階は被相続人が亡くなって3ヶ月ほどの間に行うことになります。

遺言書の確認や相続人の確認、胃酸や債務の概要を把握し、相続をするのか放棄をするのかを決定することになります。

 

相続をするのか放棄をするのかを決定したら、次に第二段階として所得税の準確定申告が必要となります。

 

準確定申告が終われば最終段階。10ヶ月以内に相続税の申告が必要となります。

 

ここで注意してもらいたいのは、あなたの相続の相棒になってもらう税理士選びです。

先程お話しした通り、多くの税理士は相続税に関する手続きに慣れておらず、ほとんどが確定申告や会社の税務に関わって仕事をしています。

 

そのため、年度末である3月などは繁忙期です。

繁忙期に慣れない仕事をすることで、一生に何度もあることではない相続について失敗や損をすることがあってはいけません。

 

そのため税理士にお願いする場合は、得意分野などを生き分けて、自分にあった税理士を見つけることが必要となります。

 

相続の段階を考えれば、どのように遺産分割をするのか。

どう分割することが節税になるのかをしっかり考えることに時間を使うことが有効でしょう。

そのため、第2段階までをスムーズに行い、実際の遺産の状況を把握しより良い分割をするための協議の時間をしっかりと取ってくれる税理士を探すことが大切です。

 

 

相続において一番大切なもの

 

相続の現場で問題になるのは、相続税の問題だけではありません。

実は一番大きな問題になるは、相続によって引き起こされる家族間の「気持ちの問題」です。

「相続の話を親にするのは気まずい」とか「子供に自分からはいいにくい」ということはもちろん、実際の介護の問題や子供時代からの感情の問題。また、相続は家族の問題でもあるため、兄弟の配偶者の意見も関わってきます。

 

せっかくの財産が、家族を分裂させるきっかけになってしまっては意味がありません。

 

そのために必要なのは、家族間での充分な競技です。

 

自分にはまだまだ先だとか、うちの家族は仲良しだから大丈夫と思いたくなるのが人情ですが、話し合いをしなかったばかりに、死後の遺言書で財産の分割の方法を初めて知り、それがきっかけでもめてしまうこともあるのが現実です。

あなたの死後、あなたの残した遺産で家族がハッピーになれるよう、元気なうちにオープンに相続について協議をしておくことが家族を守り、良い遺産相続をすることにつながっていきます。

 

また、家族間の気持ちの問題や価値観は、財産の多い少ないだけでは語りつくせません。

多くても少なくても、すり合わせができていなければ揉めるのは同じこと。円満な相続を行うためにも、これからお話しする7つのポイントをしっかりと押さえて、充分な準備を行いましょう。

 

相続の相談は誰にすれば良いのか

 

税理士

相続税の計算は税理士にしかできません。しかし、資産税を得意とする先生は実は限られています。

 

また、土地の評価は人によって大きく異なります。わずか5%でも、価格が大きければ大きな金額となってきます。

 

土地を正当に評価してくれる先生を選びましょう。

 

弁護士・司法書士・行政書士

遺言書の作成や、成年後見の相談や申し立て、遺産分割協議はこれらの先生にお願いします。

 

銀行・郵便局・証券会社・生命保険の担当者

預貯金や証券、保険関係の手続きはこちらとなります。実務的な相談はこちらになります。

 

不動産業者・不動産鑑定士

遺産である不動産の相談はこちらです。売却や活用についての相談もできます。

 

上記のように、相続に関する相談は様々な人にできますが、どれも相続の一部分にすぎません。

 

そこで、登場するのがファイナンシャルプランナー。全体を考え、コーディネートする人たちのことです。

 

相続税の基本は現金納付です。

 

現金がたくさんあれば問題ないのですが、そうでなければ事前の準備や手際の良さが必要となっていきます。

 

自分たちだけでは難しいことも多いので、専門家の力を借り、スムーズに手続きできるようにしましょう。

 

相続対策

 

それでは円満な遺産分割の7つのポイントについてお話ししましょう。

 

 

1.財産を把握し、評価額を正しく理解する

 

相続を考える場合に大切なのは、まずは財産を把握することです。

銀行や金融機関はもちろん、プラスの財産以外のマイナス際残も把握することが重要です。

会社を経営していれば、自社株の評価や会社への貸付金も含まれてくるので注意が必要です。

また、土地建物の評価も重要。

土地の評価は依頼する税理士によって評価額が大きく異なります。何度も言いますが、土地の微妙な歪みや道路との関係などを丁寧に評価してくれる税理士を探すことが大切です。

 

2.誰が相続人になるのか

 

相続人になれる人は法律上決まっています。

 

また順位が決まっており、1位が配偶者、子、2位が直系尊属、3位が兄弟姉妹となります。

 

相続人にあたる人が既に亡くなっている場合の代襲相続、子供や直系尊属がない場合、離婚・再婚をした場合など、法律では細かく決まっています。

 

家族間の感情にもつれが生じた場合、法律は大きな力となります。

しかし、逆に考えれば、法律で定められていることが感情を超えて揉める種にもなりかねません。中でも不動産は非常に大きな問題になりがちなので、不動産の名義をどうするかを考えておくことが大切です。

 

その上で、弁護士や司法書士としっかりと相談した上で正式な遺言書を残すことが大切です。

 

3.相続人、被相続人の意思能力について

 

最近問題になっているのは、相続人や被相続人が認知症になってしまうことです。

 

もしも準備が不十分な状態でそのようなことが起こってしまえば、金融機関との取引はもちろん、贈与や不動産の有効活用・売却などが全くできなくなってしまいます。

そういった場合には、家庭裁判所が法定後見人を選定する制度があります。

 

この場合、後見人は家庭裁判所で選ぶので、後見人の仕事を限定することはできません。

 

後見人の仕事を限定するには、自身に判断能力があるときに後見人を選び、公正証書で契約する任意後見制度 を利用すると良いでしょう。この場合は契約により後見人の仕事を限定できるので、相続対策として有利となります。

 

自分はもちろん、配偶者の意思能力についても考えておくことが大切です。

 

4.遺言書の作成(遺言が必要なケース)

 

以下のような場合は、遺言書を作成することが円満な相続へとつながることが多いでしょう。

 

子供のいないご夫婦

子供がいない場合、配偶者と親や兄弟が相続人となり、遺産分割がもめやすくなります。

正式な婚姻関係でない場合(内縁の妻)

相続人となるのは法律上の配偶者だけです。

 

 音信不通の子供がいる

遺言書がなければ不在者財産管理人を選任して手続きが必要となります。

 

経営している会社を⻑男に継がせたい

遺産分割協議では、会社利用の土地・建物、借入金、株式等の分散することもあります。

障害のある子供がいる

亡くなったあと、周りの人や施設が面倒を見てくれるのかは大きなポイントです。

相続人がいないので、寄付をしたい

債権等の精算後、残った財産は国庫に帰属することとなります。自分の意思を明確にしましょう。

 

☆遺言書の種類

 

遺言書には3つの種類があります。

 

一つ目は自分の手で描く「自筆証書遺言」です。ホトンフォ費用がかからず手軽ですが、向こうになったり見つけてもらえないなどのデメリットがあります。

二つ目は「公正証書遺言」。プロが作成して、原本が公証役場に保管されるため安心ですが、2人以上の証人など、ある程度の手間と費用が必要となります。

 

三つ目が「秘密証書遺言 」。自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的な存在で、自分で書いて封印したゆい本を公証役場に預ける遺言です。

 

手間と費用がかかるわりに、無効になるリスクも多く、あまり利用されません。

遺言書が残されているかどうかは、相続に大きく関わってきます。

多少の手間や費用が発生したとしても、正しい形式で遺言を残せるようにすることをお勧めいたします。

 

 

5.土地の境界画定

 

不動産を所有していても境界が確定していないと不完全な状態になります。

 

そのため、売りたくても売れない、価格が安くなるだけでなく、物納にも対応することができません。

 

亡くなってからの境界画定は、時間に限りがあり、不利になる可能性が高いため、元気なうちにしっかりと画定しておくことが大切です。

6.生命保険の活用

 

生命保険は受取人固有の権利です。

 

受取人だけの手続きで保険金を受け取ることができるため、遺産の分割対策として活用することで、よりスムーズな遺産の分割ができます。

 

また、相続税の納税資金対策としても非常に有効です。運用としての保険の素晴らしさももちろんですが、様々な角度から保険を活用することを考えてみると良いでしょう。

 

7.時間を味方につける

 

人間は必ず死を迎えます。

そのため、相続という問題は誰にでも降りかかってくる問題なのです。また、相続はいつ発生するかわからないもの。それがより「相続はなんだか怖いもの」というイメージを強くしているのかもしれません。

 

より良い相続のためには、時間を味方につけることが大切です。

時間に余裕があるうちに、相続財産を把握し、遺言書の作成や生前贈与をはじめとする様々な対策を立て、いざという時に備えていきましょう。

 

 

☆贈与について

 

贈与を活用することで、税制改正等のリスクを回避することができます。

 

暦年贈与(基礎控除額110万円)や配偶者への居住用不動産の贈与の特例をうまく活用しましょう。

 

ただし、贈与には確実に証拠を残す必要があります。相手に財産の所有権を移転した後は、贈与税の申告を行う必要がある場合も。 そのため、相続財産が多く、税率が高い場合は、贈与の金額を考えることが大切です。

 

通常、贈与は多くの人に⻑期計画で実行すると有利になります。長期的な目で見て、節税になるような贈与ができるように計画しましょう。

また、教育資金の一括贈与に対する非課税措置があります。

 

平成25年4月1日から平成31年12月31日までの3年は、学校等の教育機関への支払いであれば、孫1人あたり、1,500万円まで贈与税が課税されません。

 

ただし、委託者が受益者の直系尊属である個人であることと、受託者が30歳未満の個人であることが条件となります。

 

対象は学校などへの入学金や授業料、学校以外の塾や習い事の月謝等となりますが、学校以外の者に支払われるものについ ては、500万円が限度となります。

 

高齢者層の保有する豊富な資産を子育て世代に移転させるこの制度は、有効に利用すれば次世代へ教育という最大の贈り物を送ることができます。

 

 ぜひ一度、熟考してみたいものです。

 

 

まとめ

 

円満な相続を行うためには、上記のようなポイントを押さえながらの入念な準備が必要といえるでしょう。

 

しかしそれ以上に、親から子供へと伝えるべきことが沢山あります。

 

これまで育ててきた思い、これからどう生きて欲しいと願っているか、事務的な話ももちろんですが肉親ならではの思いのこもった言葉が何よりもスムーズな相続のために必要なのではないでしょうか??

 

心と心の結びつきを感じた上で、自分が納得できるプロに手伝ってもらうことができれば相続はうまくいったも同然です。

 

大切に守ってきた財産だからこそ、家族の絆をより一層深めるものとして次世代に引き継いでいかれるよう考えたいものです。

 


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